素直でない想いは『野ばら』のように男同士のほうが理解し合えるのかもしれない

最近BL作品も少しずつ読み始めているレクシアです。

マンガが大好きなレクシアですが、BL(ボーイズラブ)作品は男の自分が読むのもなんだかと避けていて。しかし、あの林先生も偏見を持たずに読み出しているということで最近興味を持ち始めていました。

そこで数あるBL作品の中でどれから読めばいいのかわからなかったので、BL好きのお友達・ひのりみさんにいくつかおすすめしていただいたので、その中でも特によかったBLマンガ「野ばら」を今回紹介します。

まあ、BL作品は今のところまだまだたくさんは読み漁っていないので、おもしろいポイントはそこじゃないよ!ってこともあると思いますが、そこはあしからず。

 

野ばら 全1巻短編集/ 雲田はるこ

あらすじ

あなたの人生、僕にください
両親を亡くし、若くして洋食カジワラの店主を勤める梶原武は、そこに勤める離婚寸前の子持ち・神田惣一郎が気になって仕方がない。
ある日武は神田不在中に離婚届を渡しに店を訪れた妻の冬子により、神田が元々ゲイであることを知る。
今までの自分への態度や反応から、神田が自分の事を好きなのではないと思い当たるのだが…
小さくても華やかに、棘が刺されば痛いけど、それでも愛しい
野ばらのような二人の人生がここにあります。

Amazon 内容紹介

こちらの作品は短編集であり、主に3つの作品で構成されています。

  • 「野ばら」前篇、中篇、後篇、番外篇
  • 「みみクッシリーズ」BOYの季節、ハートのイヤリング
  • 「Lullaby of Birdland(鳥の国のララバイ)」

この記事では主に「野ばら」についてご紹介します。

 

素直に優しくできない。男同士はそれがわかる

洋食カジワラの店主を勤める梶原武は、両親を亡くして自分でお店を切り盛りしている。

そこに勤める離婚寸前の子持ち・神田惣一郎はなんだか佇まいが女性的な感じではあるが、よく働いてくれるいい人で長く勤めてもらいたいとひいき目に接している。

お店に奥さんが離婚届を持って来たときに彼がゲイであるという衝撃的事実を知ることから、自分に好意を持っているのではないかと感じてモヤモヤと仕事をしていた。

そんなとき、ばあちゃんがギックリ腰で入院するが武は一見冷たいようにほおっておく。仕事終わりに武と惣一郎は二人で話す。

「野ばら」 雲田はるこ P22-23 (マーブルコミックス)
「野ばら」 雲田はるこ P22-23

武は、ばあちゃんを大切にしていないように見えるが実はちゃんと想っている。それをわかった上で惣一郎は大事にしてあげてくださいと話す姿に見覚えがある。

 

女性同士の友情のことはよくわからないが、男同士の友情では全部話さなくて言葉足らずだけど理解し合えることであると思っている。

家族や妻・恋人に対して粗暴に接しているように見えるが、素直に優しくできないだけで実は大切に思っている。そんな想いをなぜか気を許した男友達には素直に話せるのだ。

こんな男同士にしかない友情の姿について「野ばら」には上手く描かれているし、そんなときに慣れない優しさを受けると男同士であろうとグッとくるのは当然である。

ゲイではない武の方からアプローチしているところが見どころだ。

 

本当の自分を受け入れてもらいたいのが男

惣一郎は自分がゲイであることを誰にも言っていなかった。

見合いを断れなくて結婚することになり、子供も産んで妻にも情のようなものが湧き幸せな生活を送っていた惣一郎であるが、やっぱり自分の本当のことは理解して受け入れてもらいたいのが本音だ。

その幸せに図に乗ってしまったのか、惣一郎は全てを妻に告白した。しかし彼女は本当の意味でパートナーとして愛されないということが辛く受け入れられなかった。

そのときの愚かな自分に悔やむ惣一郎。

「野ばら」 雲田はるこ P53 (マーブルコミックス)
「野ばら」 雲田はるこ P53

元々ゲイではない武にとって問題はそこではない。

男である惣一郎のことを好きになった武であるが、同情かもしれなくて冷静ではないのかもしれないけど好きになったら突っ走る武はやはり男らしい。

 

恋愛だけでなく仕事や好きなものを割り切って本当の意味で区別できないのが男であり、割り切れないからこそとことん理解しようと突っ走るのが男である。

男らしい武だけでなく、女性的な佇まいな惣一郎も過去の過ちを理論的に悔やみ後悔して新しい恋に踏み切れなかった姿もやはり男だからこそであると感じる。

男女間の恋愛ではこんなことはないだろう、男同士の恋愛(BL)だからこそある良さをレクシアはこの「野ばら」に感じていて、BLだからこそこの作品はおもしろいと思う。

 

「BANANA FISH」を好きな人は読んでほしい

この短編集「野ばら」に掲載されている「Lullaby of Birdland(鳥の国のララバイ)」は、あの有名な吉田秋生先生の作品「BANANA FISH」にあるおもしろさと同じような魅力を感じた。

よくよく考えれば、「BANANA FISH」も男同士の恋愛(BL)とまでは言わないけどほぼ同じような要素があるだろう。一応少女向けであるこの作品を大好きな男性読者は多くいるはず。その中のひとりがレクシアですよ。

ぜひアッシュと英二の友情と固い絆が大好きな方は「Lullaby of Birdland(鳥の国のララバイ)」を読んでほしいと思っています。

 

こんな人におすすめ!!

  • BL(ボーイズラブ)に興味がある
  • 素直になれない想いを理解し合いたい
  • 男同士で一緒にいるのは楽だ
  • 吉田秋生先生の作品「BANANA FISH」が好き

 

男性読者にとってBL作品に嫌悪感を抱きやすい理由が、男性同士のいわゆる「営み」であろう。

まだ多くのBL作品を読んでいない初心者のレクシアであるが、この「野ばら」ではあまり「営み」の描写は多くなくてそこまで過激でもないと感じているので、BL初心者でも読みやすいと思う。というか、全然平気だった。笑

BLなんて…と偏見を持たずに読むとすごくおもしろいし、そこから新しい世界を知って理解を深めることができる。そしていろんな考えや物事をとらえてマンガからたくさん学んでいきたいと思っている。

いやー、マンガって素晴らしくて深いものだとさらに感じている近頃です。

 

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