人が大きく変わるときにはなにがあったのでしょう。
人はそう簡単には変わらない。といいますが、そんなことはないと思います。
そこで今回は、史実をもとに人々を救うために世界を変えていく男達の生き様について描かれたマンガを紹介します。
『ヴィンランド・サガ』1~22巻 幸村誠/アフタヌーン
この物語は、11世紀初頭の北ヨーロッパおよびその周辺の国々を舞台に、当時世界を席巻していたヴァイキング(スカンディナヴィア、バルト海沿岸地域の武装船団で、ノルマン人とも呼ばれる)たちの生き様を描いた歴史マンガです。
ストーリーと歴史に実在する主要人物
ストーリー
11世紀初めの西ヨーロッパで、襲撃と略奪を繰り返すヴァイキングのアシェラッド兵団がフランク領同士の小競り合いで包囲されていた都市を瞬く間に落とし、財宝を残らず奪い去っていく。 この兵団の一員で2本の短剣をもつ凄腕の少年トルフィンは、戦功を挙げるたびに見返りとしてアシェラッドと決闘をしていた。
二人の因縁は10年前にさかのぼり、「戦鬼(トロル)」と恐れられていたトルフィンの父トールズをアシェラッドに殺されたことから復讐のために兵団に入っている。
デンマーク王スヴェンの次男であるクヌート王子は、アシェラッドの計略でイングランド遠征の戦から救出されるが、保護者であるラグナルの死によって自分の進むべき道を見出し、王となって神への反逆し、トルケルのようなヴァイキングたち人間の力を束ねて自らの手で地上に楽土建設を目指している。
この物語は主人公トルフィンを中心として展開していき、復讐の対象であるアシェラッドの死から正気を失い、クヌートに斬りかかることによって無気力な奴隷へと転落していく。
そして同じ奴隷身分のエイナルと出会うことで殺戮していた自分の半生を後悔し、暴力と決別して「本物の戦士」になることを目指し、農場主のケティルによって死んだ奴隷のアルネイズを看取ったこと、農場の接取に来たクヌートとの謁見で、幼き時にレイフから聞いた「新大陸ヴィンランド」への想いを固める。
その憎悪と闘争、死と破壊、絶望と後悔、哀しみと再生の経験から、遥か海の向こうヴィンランドを目指し、世の中に虐げられた人々を集めて「戦争も奴隷もない平和な国」を作る過程を描いている。
トルフィン
物語の主人公で「侠気のトルフィン(トルフィン・カルルセヴニ)」とあだ名される。
歴史上の人物としては、レイフ・エリクソンが発見した新大陸ヴィンランドの航路をたどり、約60人から160人の移民を率いて定住計画を企てて植民地を開拓したアイスランドの探検者である。
クヌート
王位継承の意思を固めた後は性格が一変し、豹変した威風により瞳に「不思議な輝き」を宿すようになったとアシェラッドとトルケルに称される。
歴史上の人物としては、デンマーク王スヴェンの子であり、イングランド王位とデンマーク王位、さらにはノルウェーの3国の王位を兼ねて「大王」と称され、広大な北海帝国を築き上げた偉大なる王様である。
レイフ・エリクソン
ヨーロッパ大陸から海を渡ってアメリカ大陸に史上初めて到達したとされるアイスランド生まれのノルマン人航海者で、「幸運なるレイフ」というあだ名で知られる。
見どころ
このマンガは、実在する歴史上の人物を描いた漫画であり、その生涯において男たちの人柄が大きく変わるところが見どころです。
このように初めの方は、復讐に取りつかれて生意気な主人公のトルフィン(画像の下の人物)とかなりの美形で気弱な王子であるクヌート(画像の上の人物)でありますが、その二人は過酷な経験によって性格や人格までもが一変します。
二人の変わる過程も別々に描かれていて、クヌートの場合は、王宮の親子兄弟が相食らう狐の巣に住まうことで目立たぬように気弱に生き延びてきましたが、親愛なる保護者ラグナルの死によって、今まで思っていた「子を愛さぬ父親などいない」という純粋な気持ちから愛の本質について、神の創造した世界に暮らす人間の心ついて考えました。
神々の楽園から追放された人々を救うために愚かな人間の王となって、地上に人間の楽園を創ろうと決意し、今までの考えから人格まで一変して、全てを変えるために自分を変えていったのです。
また、トルフィンの場合は、その憎悪と闘争、死と破壊、絶望と後悔、哀しみと再生の経験から自分が殺した死者への後悔という呪いにかかって自分を責め続けています。
その後悔への想いから、戦争や奴隷制度によって苦しむ人々を救う平和な国を作ることを決意してヴィンランドを目指します。
そうやってこの二人は見た目や人格が変化し、絵では別人かと思うぐらいの違いで描き分けられています。
こちらは上の人物がトルフィンで、下の人物がクヌートになります。
髪の長さも真逆になっていますね。笑
このように、人は経験や想い、決意によって大きく変化することが具体的にはっきりと描かれています。
また、この二人が救おうとしている人々でも違いがあります。
クヌートは大きな権力でで大勢の人々を助けて少しの人を虐げるような性質のもので、それがいいことか悪いこととはわからないし、トルフィンは責めるつもりもないのです。 だからこそ、トルフィンはクヌートの力の届かない場所でクヌートとは違うやり方で平和な世界を作ろうとします。
この二人は結局、違う道で同じ目標を目指す仲間なのです。
このような物語を描く幸村誠先生に感服します。
歴史上の史実を崩さずにアレンジして、上手くバランスの取れたマンガはそうそうあるものではありません。 男ならこの作品は見てほしいと心底思う、レクシアおすすめマンガです。
現在は16巻まで発売されていますが、北海横断編に入ってヴィンランドでの移住資金を集めるためにギリシアを目指して航海中です。
その過程で、女のグズリーズや赤ちゃんが船員となっています。
はやく最新刊17巻が出るのが楽しみですね。
こんな人におすすめ!!
・歴史物のマンガが好き
・男気のある人物に惹かれる
・自分を変えたい・変わりたいと願う人
・大きな夢や目標がある人
このマンガのように、自分を変えることは私たち普段の日常でもできるのではないのでしょうか。 しかし、変わるためには自分の強い想いと意志が必要なのは間違いないと思います。
変わる過程でいろんなものを失うことや不幸な出来事が起こることもあるでしょう。
変わった後で人や環境のせいにしないように、後悔しないように自分の意志で決めることが大切だとレクシアは思っています。
レクシアが本当に大好きなマンガです。
ぜひ読んでみてくださいねー
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