仕事やスポーツなどで責任ある大役に任された時は「本当に自分に務まるのか」ってたまらなく不安になることもありますよね。
もしくはいつも努力しているのに成果が出なくて、コツコツとやるべき仕事やトレーニングをしていて頑張っているのに…もう少しでいい成果が出る!勝負に勝てる!という直前になぜかうまくいかなくて、「もう自分には無理かも」と感じて挫けそうになってしまう。
このようにたまらなく不安な時や挫けそうな時はどうしたらいいんでしょうか?
不安で頭がいっぱいで挫折しそうで自分に悔しくて枕元で泣いてしまい、人に相談してみたけど結局どうしたらいいのかよくわからなくてさらに不安になってしまう。
そんな壁にぶつかったときに自分を振り返るためにも読んでほしいマンガを今回紹介します。この作品はレクシア自身が壁にぶつかったときに何度も読み返していて、読むと今が新しい自分に成長するきっかけだと気づかせてくれることでしょう。
はるか17 全19巻/ 山崎さやか
あらすじ
宮前遥・22歳。小さな芸能事務所・童夢企画(どうむきかく)にマネージャーとして入社。その後、社長・福原に説得され、1年間の期限付きで17歳のタレント・“はるか”として活動することになった。エッチな水着グラビアから始まったタレント活動も、映画のオーディションや地方CMの撮影など、少しずつではあるが、タレントとして“はるか”は、前に進み始めた。
『はるか17』第1巻
だいぶ昔ですが、この作品は平山あや主演で実写ドラマ化されています。
人って…どういう時に成長するんだと思う?
主人公・はるかが芸能界に足を踏み入れたのも、乗せ方がうまく熱意のある社長のおかげで、とにかく芸能界は相手を巧みにだましたり裏取引のある“芸能界のウラ話”を描いた作品。
しかしこのマンガの魅力は“芸能界のウラ話”だけではない。はるかの成長していく過程で生まれる言葉や行動と考えが、不安で挫折しそうな時に忘れがちで大切なもの気づかせてくれる。
スマッキー事務所の赤城翼はドラマの初主演が決まったことをはるかに話し、そんな大役が務まるのか不安で自分のそばにいて支えてほしいと告げる。しかしはるかはやっとの思いで決まったドラマ主演がなかったことになり、落ち込んで挫けそうなときに赤城くんに主演をとられてしまったと知る。
もちろん赤城くんははるかの主演を奪ったことを知らないし、はるかも運を掴む力が足りなかったとわかっている。
相談と告白を受けたはるかは赤城くんにこう話す。
自分がはるかの立場だったら、たとえ相手が何も知らなくて好きな人であろうと同じように励ますことができるだろうか。
もちろんはるかは自分に言い聞かせているだけかもしれない。それでもはるかの言葉を聞いた赤城くんは傷つくのが怖くて甘えていた自分を省みるだろう。
そしてこの言葉は自分独りで頑張れ!ということではない。
不安で挫折しそうでもやるかどうかを決めるのは他人ではなく自分であるということ。
このマンガの第16巻からは、ひとつの企画からいい脚本をつくり仲間を集めて出資者を募ることで映画を創りあげる。そのときに自分が率先して努力し続けないと仲間はついて来ない。
自分の力で立ち上がった経験は、この先また壁にぶつかった苦しいときの支えとなる。初心を忘れて諦めることなく努力し続けることができる。その姿や創りあげたものは自分の記憶にずっと残り、誰かを魅了して仲間として協力してくれるかもしれない。
最終巻に近づけば近づくほどおもしろく、このマンガにも魅了されることでしょう。
自分の経験プラス想像力が心を動かす
はるかとライバル女優・佐倉ユリは、同じ事務所所属のタレント同士で舞台「真説 シンデレラ」の主演の座を決める前代未聞のオーディションを行う。
「誰も味方のいないあの孤独と絶望感…味わった者しかわかるわけない」と脚本内容によるシンデレラの役はユリに向いていた。
ユリの母親は水商売で外面はよかったけど男にだらしなく、母親に叩かれたり母親の男にいやらしい目でみられたり家にいたくなかった。けど他に行くあてもなかった。芸能界のオーディションに受かった日を境に一人で生きていく覚悟を決めた経験を持っている。
そんな不利な状況でもはるかは真説シンデレラの役を演じて勝ち取ることができた。
フツーの家で育ったはるかに負けたのが納得いかないユリははるかに会いに行く。
そのときはるかはユリにこう言っている。
「極端な話 経験だけで演るなら誰でも一回はできるよね「自分」という役を」
うまくいかないときにこそ、失敗しそうな時にこそ、この想像力が必要であるとはるかは気づかせてくれる。
うまくいかない理由を想像するのではなく、はるかが自分の経験にプラスして何人もの人生を細かく取材し想像して演じていくように、どうすればうまくいくのか自分の経験とともに想像する。
例えば、接客業などでは自分が接客している姿がお客様にどのように映っているかを想像して、さらにお客様の立場からどうしてもらうと嬉しいかを想像する。絵を描く人や商品を開発する仕事は観た人や使った人がどう感じるかを想像して、販売するときは他のものよりもなぜこれを買うのかをさらに想像する。
こうして想像したことを実際に造り上げて創造していくことが大切なのです。マンガのなかでは、映画「蒼」制作にかけるはるかの想いから始まった想像が創造へと変化していく過程が描かれている。
そして、その渦の中で 驕ることなく溺れることなく自分を保ち かつ努力していけるか…
このマンガ『はるか17』では、はるかや赤城くんとユリなどタレントや俳優だけでなく、脚本家や映画監督とマネージャーやカメラマンのような数多くの仕事人の姿を垣間見ることができるでしょう。
様々な仕事をしているキャラたちの姿から自分とかかわる人など周りのことも見えるようになり、不安や失敗で挫折しそうな時が新しい自分に成長するきっかけだと気づかせてくれて、さらに苦悩があったからこそ大きな喜びがあることを思い出させてくれる。
仕事などで壁にぶつかったときに自分を振り返るために読んでほしい芸能界仕事マンガです。
あとがき。
このマンガはレクシア自身が半年から一年ぐらいの周期で定期的に読み返しているマンガです。
自分がいろいろな場面で壁にぶつかったときにふと思い出して、全19巻もあるのに一日で一気に読み切ってしまう。もう何度このマンガを読み返しているのかわかりません。笑
不安や失敗で挫折しそうな時こそいったん冷静になって自分や周りを見つめなおすことが大切だと自分は思っているのですが、その役目をいつも果たしてくれる素晴らしき名作です。何度この作品に救われてきたことか…数え切れない。
このマンガを読み返したということは最近レクシアも壁にぶつかったということ。自分の考えを整理するためにこの記事を書いたのかもしれません。
ちなみに、このマンガの著者である山崎紗也夏先生はペンネームを何度か改名されています。
新人賞応募時は鈴木さやか、1993年デビュー時は沖さやか、 1999年から山崎さやか、2008年から山崎紗也夏へと改名されていますのでご注意を。他の作品もすごくおもしろいのでぜひ読んでみて下さい。
レクシアは特に『シマシマ』と『サイレーン』が好き。
最近は漫画ゴラクに連載されていた新作『はだかの林檎』も発売されていてHがメインの作品です。何人もの女とヤッたと自慢する男ほどお子様なのだと思い知らされる、ベッドの上で語られるオンナの本音を描いています。男性諸君は必見ですよ。笑
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