書店員に対して自分はある願望を持っていた。
清楚で知的で本が大好きな美女であるという、イメージではなくまぎれもなく願望。
そのきっかけはドラマ「ブザー・ビート」を観ていたときに女優・北川景子さんのおかげ?で女性書店員は美女であってほしいという願望を抱いてしまった。たまにいる美人書店員さんがいつの間にかいなくなったときはかなしいけれど、それでも書店に行くのはやめられない。だってマンガや本が好きだから。
そんなこともあって書店員さんを見る機会は多いのだけれど、書店員の仕事が忙しくて大変そうなイメージは持っていなかった。むしろマンガや本好きの自分としては幸せな空間だろう、マンガに囲まれて羨ましいよね!と安易に考えていた。
そう、このマンガを読むまでは…
ガイコツ書店員 本田さん 第1~3巻/ 本田
あらすじ
ガイコツ書店員本田さんがお送りする、爆笑必至のお仕事エッセイコミック!!
本田さんは戦う!! 業務と!! 絶版と!! マンガを愛する人々と!!
コミック売り場がこんなに笑える職場だなんて聞いてない!?
とある書店のコミック売り場から、マンガ愛をふんだんにこめた日報をお送りします。
書店の裏側!そこは混沌そして狂乱だ
コミック売り場だけでもジャンルや出版社によって担当者が数人いることや外国人のお客さんが多いことから、都市部大型書店での実録お仕事マンガである。
毎日かなり多くのお客さんが来るのでもちろん珍客も多い。外国人のお客様と英語であたふたしつつ、問い合わせの本が18禁の同人誌であったり、BL(ボーイズラブ)激賞大戦が勃発したり、オススメのマンガ聞かれて困惑する姿が笑える。
マンガ好きでも外国人だと感覚が違うのか、日本人のお客さんと行動や聞いてくる内容が異なっているのでまさしく珍客。BLコーナーで日本人が堂々としていることはほとんどないだろう。状況がおもしろすぎて、逆になんだか眩しい…
ガイコツ本田さんの戸惑いとツッコミが秀逸すぎて、書店員の苦労を笑いながら感じることができるコメディ要素強めな描写が最高!書店員も接客業なんだと笑いながら感じることができるでしょう。
しかしそんな書店員接客のコメディ要素だけがおもしろいのではない。
大型書店の裏側が見どころ。
マンガが好きな人は本屋で働いてみたいと思った人もいるだろう。書店員として働いたことのない自分もそうであるが、仕事の裏側は実際に働いてみないとわからないもので書店員のお仕事をナメていたことを思い知らされる。
そうだよね、そうだよね。本をちょちょいと整理しながら接客することだけが書店員のお仕事じゃないよね。
よく考えればわかることだけど、美女書店員さんが急にいなくなるのはこのためか…
(もちろん仕事が大変だからというわけではなくて、いろんな理由がありますよ)
さらには、各出版社からやってくる営業さんもいるんだと改めて教えてくれる。本屋からしてみれば「取引先」の一言でくくれないような複雑な関係らしい。
営業さんは自社の本をたくさん売るために本を売る店舗・書店に大きく展開してもらわなければならない。そのためにポスターやポップとかサイン色紙などの工夫をする。しかし、マンガだけでも月にかなり多くのコミックが出版されているのだから全て置ける訳がないのである。
だからこそ、あれよこれよと営業さんもいろんな手を使っているし、コミックおまけを遅れて搬入してしまうことで書店店舗が困ってしまうなどの失敗もある。
いろんな営業さんがいるね♡とオブラートに包んでいるが、書店に来るお客さんも書店員さんもいろんな人がいるんでしょう。それを表現するために、描かれている書店員さんはガイコツ本田さんをはじめ、仮面やカボチャをかぶっていたり、ブッダヘッド次長の鬼みたいな顔が急に笑顔になったりしているのかもしれません。
こうして大型書店の裏側を描いた実録書店員あるあるマンガであることは間違いないが、この作品がすごいのは書店員の苦労ばかりを描いているのに「書店員って大変そうだから働くのやめよ」って感じないところだ。第1巻中で本田さんが書店員の仕事に感動した場面は、おまけマンガ『仕事なんかいつでも辞めれるのだ』に収録されている。
ネガティブで後ろ向きなガイコツ本田さんですが、こわいクレームを言われてもかなしくても打たれ弱くても真剣に書店員として働いていたことがうかがえる。仕事で嬉しいこともごくたまに一瞬だけかもしれない。それでも書店員の仕事は素晴らしいもので誇りを持って勤めていたのは間違いない。
書店員のお仕事は、苦労がたくさんあるからこそ笑える幸せなこともあるんだと感じるはず。
書店員という仕事・コミック売り場担当だけにしかない喜びも描かれていくことでしょう。今後のガイコツ本田さんの働く姿に期待!!
こんな人におすすめ!!
- 書店員として働いている人や出版業界のお仕事
- 書店員に憧れている、仕事内容を知りたい
- 本屋さんによく行く
- 書店員って知的なメガネ美女ですよね(それ願望!)
書店員さんは楽な仕事とまでは思っていませんでしたが、本やマンガ好きなレクシアとしては本に囲まれて羨ましいなーと安易に考えていました。すみません、このマンガを読んで考えを改めました。
自分は本屋さんにおすすめのマンガとかを聞くことはないのですが、急に聞かれると困りますよね。本やマンガって個人によってこだわりが分かれているものですから。「おすすめマンガ教えて!」だけ聞かれると自分もテンパったり相手が引くぐらい語りすぎるので、そう考えるとマンガサロン『トリガー』のマンガコンシェルジュってすごいよなぁ。
今ドラマで放映されている『重版出来!』もマンガ編集者や出版業界にかかわる人の苦労と努力を感じられておもしろい(コミティアの再現性とか凄すぎ!)ですし、以前紹介したマンガ『連載終了!』ではマンガ家の苦悩やリアルな人生奮闘記が描かれています。合わせて読むとさらに楽しめるかも。
それと忘れがちですが、書店員は接客業でもあります。コンビニ店員とかもそうですが、接客をないがしろにされがちだからこそ素敵な接客を心掛けている人に惹かれます。それを意識するだけで他の店員とも差別化できて店舗の看板になれるんです。
はい、笑顔は筋肉ですよー!接客の笑顔は鍛えられますし、ウェルカムの気持ちを乗せながら相手の目を見てほほえむとブラボー!!笑
と、ほほえみ番長の指導をレクシアバージョンに改変しましたが、ほほえみ番長の接客指導内容は嫌になるかもしれませんけど大切だと思っていて、意外と好きなキャラです。
このマンガを読んで書店員さんの見方が変わりました。ガイコツ書店員さんがほほえみ番長の仮面をかぶると惹かれるでしょう。さらに美女だと…もう惚れるかもしれませんね。笑
ガイコツ書店員 本田さん 第一話試し読み|pixivコミック
マンガ家「本田」先生の言葉
このマンガを描いた「本田」先生から読者に向けてのコメントを頂きました!
@hyper_lexia 考えましたが、拙作を記事にしてくださったことも、貴コンテンツをお楽しみ頂いている方々へも、色んな正しい形で漫画に携わる人々へも、ありがとうございますということしか思いつかず、凡庸極まり甚だすみませんが、これを以てコメントとさせていただければと思います。
— 本田 (@Honda_001) 2016年5月29日
実録お仕事マンガということもあって、ガイコツ書店員本田さんイメージ通りの謙虚なお人柄を感じ取れるコメント、本当にありがとうございます!!
美男美女の書店員さんももちろんいますが、本田先生が書店員のお仕事を一生懸命謙虚に取り組んでいて、書店員としての仕事愛を感じることのできる作品だからこそ、全国の書店員さんから多く共感を得られているんだと思います。棚の影からこっそり書店員さんを応援してる!
これからも本田先生の連載とご活躍を応援しています。
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