皆さんはどんなお酒が好きですか?
ビールやワイン、ウイスキーやブランデーやカクテル、焼酎など数多くのお酒がありますね。
レクシアは日本酒が一番好きなのですが、日本酒が好きな人はお酒好きのおっさんみたいなイメージがあるのか若造の自分には日本酒を一緒に楽しむ友人はそれほど多くいません。そんなこともあって、美味しい日本酒に出会う機会があまりなく旅行先で試飲して買うことがほとんど。
日本酒が大好きで探しているのだけれど、美味しい日本酒を教えてくれる友人や出会う機会がなくて困っているあなたに読んでほしい、本格日本酒コミックを今回紹介します。
いっぽん!!~しあわせの日本酒~ 第1~3巻/ 作:増田晶文 画:松本救助
あらすじ
老舗百貨店クロキに勤める紗々竹葉は、ひょんなことから味覚のセンスを見込まれ、クロキの命運を賭けた50周年イベント日本酒企画推進室室長を命じられることに…!?
実在の蔵と酒が登場する、本格日本酒コミック。単行本カバー裏
この記事では主に第4話と第7話の場面についてを紹介する。
求めるものは『本格』!本格のお酒に酔いしれる私!
老舗百貨店クロキの紗々のところに、女の子も入りやすいちょっとコジャレた隠れバー的なお店の女店長が相談に来たところから第4話【4本目 何度でも】の話が始まる。
「若い女の子が好きそうな日本酒を教えてほしいのよ」という相談内容。
女性向けの日本酒といえば、自分でもやはりスパーリング日本酒をすすめる。例えば一ノ蔵の「すず音」とか。
しかし、相談者の女店長は「そんな簡単じゃないのよ女子って」と言ってお店に置きたい日本酒について語りだす。
その気持ちすごくわかるー!!
自分は女性ではないしもちろんスパーリング清酒も美味しいと思う。だけど、カクテルもワインもシャンパンもあるのに日本酒にシュワシュワした口の快感はそこまで求めてないんですよね、日本酒が好きな人って。
決してスパークリング清酒を否定しているわけではありません。日本酒ってなんだか苦手…という人に興味を持ってもらうには最適な日本酒がスパーリング清酒なのではないのでしょうか。
特に若いのに日本酒が大好き!という人は、いろいろ理由あると思うけど日本の『本格』なお酒を呑む自分に酔いしれたい!って気持ちはあるはず。たぶん自分もそんな面がある。
そんな相談者の思い描く日本酒を見つけるために、紗々がいろんな日本酒を呑んで楽しみまくって探していくこのマンガ。
もちろん、日本酒を本格的に楽しむ上では外せない“燗酒”の知識についての描写もある。
常温、日向燗、人肌燗、ぬる燗、上燗、熱燗、飛び切り燗について“燗酒”のことをちゃんと知らない人でもわかりやすく学ぶこともできる。そしてなにより、酒燗器のような機械を置けないお店や自宅でもお燗を楽しむ簡単で具体的な方法が描かれている。
このマンガの通りに湯せんや電子レンジを使えば自宅でもお燗を楽しめることができるようになるでしょう。
女子じゃなくてもお得で本格的って大好き!!
ああ、日本酒呑みたい。よし、本格的に呑もう!と読めば読むほど感じるマンガ。
[いっぽん!!] 特別コラム
このマンガには実在する蔵とお酒が登場する。
読んでいくうちにこの日本酒が呑みたいと思うこともあるだろう。そんなときは特別コラムを読むといい。
精米歩合やアルコール度数、製造元のような銘柄の情報だけでなく原作の増田晶文氏のコラムが掲載されている。
このコラムを読むと、蔵やその地域のことをしっかりと取材した上でお酒とのリンゲージを踏まえつつストーリーを考えていることがわかる。蔵元の日本酒に対する想いを伝えつつ、そのお酒の味わい方やうまみの情感がなんだか柔らかく伝わってくる。
その取材している様子はまるでマンガの紗々のように、日本酒と地元の料理を味わいながら楽しんで呑みまくっているのだろう、日本酒について熱く語り合っているのだろうとなんだか想像できる。
羨ましい限りでいっしょに呑みたい。
酒のロマンと想い
このマンガは美味しい日本酒をただただ紹介するだけの物語ではない。
第7話【7本目 酒のロマン】のところで酒造りとそれを伝える者たちの想いを感じたので少し紹介する。
日本酒「鬼夜叉」は遠心分離機を導入して製造しているお酒だ。
遠心分離機というものはレクシア自身化学系ということもあって使用したことのある機器であり、生化学の分野でよく使われる細胞や物質に負担をあまりかけずに固体と液体を分離する装置である。特に最先端の技術というわけでもない。
しかしこれが、お酒の製造に導入するとなると難色を示す蔵元も多いのかもしれない。機械に頼るようになってはダメなんじゃないかと。
第7話に登場する次期社長も同じように悩んでいた。
そのときの杜氏の言葉が化学技術にかかわっていた者として身に染みる。
「どんなに機械化しても最後は人なんです 遠心分離機だって人間の技術が作ったわけですし 完全に人の手を離れることはないんですよ」
そうして新しい世代の紗々と次期社長ヒロシが話し合うシーンにも感銘を受ける。
「いっぽん!! 1巻」 増田晶文、松本救助 P184-185
お酒も大好きなレクシアですが、「新しい世代の日本酒と新しい世代のうまさをお客さんに伝える」これは当サイト『HyperLexia(マンガ)』の趣旨とかなり共鳴する想いがある。
おもしろいマンガを知ったら黙ってられないレクシアなのです。
さあ、紗々と一緒に「うまい日本酒を求める旅」に出かけるためにマンガを読んでみよう!
こんな人におすすめ!!
- 日本酒が大好きな人
- お酒にかかわる仕事をしている
- 美味しくて知らない日本酒を求めている
- 伝えたい好きなものがある
本格的なワインやバーテンのマンガはけっこうあるのだけれど、本格的日本酒マンガとはそうそうないでしょう。
しかしこのマンガはただの日本酒紹介マンガではないことを読んで感じるはず。日本酒に対するロマンと想いがたくさん詰まった作品で愛を感じる。
紗々と一緒にうまい日本酒を求める旅に出たレクシアは、作中に登場する『山法師』がめちゃくちゃ呑みたいと思って注文しました。いやー、おいしかった。
そんな日本酒愛にあふれた増田晶文氏の酒蔵を取材して考えた物語を、わかりやすく日本酒のうまさを感じる紗々の表情や蔵元の想いがストレートに伝わる絵を描く松本救助先生のマンガもすごく見どころです。
紗々と一緒にうまい日本酒を求める旅にも出て、そしてぼくのヨ…ヨメにも来てほしい。しかし40歳以上のおじさまが好みということで振られるでしょうね。笑
お酒を渋くたしなむおじさまになろうと決意したレクシアでした。
いっぽん!!~しあわせの日本酒~ 試し読み|グランドジャンプWEB
原作者「増田晶文」先生の言葉
このマンガの原作者である「増田晶文」先生から読者に向けてのコメントを頂きました!
@hyper_lexia 作品を深くご理解いだだきありがとうございます。日本酒ブームだからこそ、「酒屋万流」の意義を噛みしめ『いっぽん!! しあわせの日本酒』をつくってまいります。紗々の悪戦苦闘&うまい酒に巡りあったよろこびを、読者の皆さまと分かち合えることができますように!
— 増田晶文 (@showbun) 2016年5月10日
増田晶文先生は小説『エデュケーション』などを発刊する作家先生です。詳しくは『showbun.com』(公式ウェブサイト)をご覧になってみて下さい。
紗々の悪戦苦闘とうまい酒に巡りあったよろこびとは、ご自身が取材して経験したことを物語の話の内容に合わせて書いているのかもしれません。紗々の行動や想いから増田晶文先生の人柄が感じ取れるマンガですね。
これからも素敵な日本酒『いっぽん!!』のロマンの旅を楽しみにしています。
マンガ家「松本救助」先生の言葉
このマンガを描いた「松本救助」先生から読者に向けてのコメントを頂きました!
@hyper_lexia 紗々と一緒に「美味しいいっぽん」に出会って日本をまるごと楽しんでもらえると嬉しいです!
— 松本救助@「いっぽん‼」「モトヨメ」 (@torimo_mk) 2016年5月11日
松本救助先生の描く紗々はものすごくかわいいんですよね。しかも、お酒で顔がほんのり赤くなっているときと照れて赤面しているときなどの表情の描き分けがすごく上手いのです。そのコマごとに変わる些細な目や仕草から日本酒のうまさと魅力を感じ取れるでしょう。
他にもヤングアニマル嵐で「モトヨメ」を連載中。これからも松本救助先生の連載とご活躍を応援しています。
最新刊3巻発売中!
後日談:新書をご献本いただきました!
このマンガレビュー記事がきっかけで、著者のお二人に新書をいただきました!
マンガ家の松本救助先生はエッセイマンガなのでマンガレビューしています。記事はコチラ▼
原作者の増田晶文先生は書き下ろし時代小説を出版されています。
日本酒マンガ『いっぽん』をご紹介したご縁で、原作者の増田昌文(@showbun )先生に新書『稀代の本屋 蔦屋重三郎』を頂きました。
江戸随一の出版人をモデルにした時代小説⁉︎ マンガの流行仕掛人になりたいので、じっくり読むぞ! https://t.co/YQDDFjmJAo pic.twitter.com/ZXMqyM91Ky— レクシア (@hyper_lexia) 2017年1月26日
ツイートではお名前をまちがえてしまった…増田晶文(ますだ・まさふみ)先生です。大変失礼しました!!泣。ってことで、ぜひ読んでみて下さいね。
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