人々に怖れられるものはきっと…哀しい想いを背負っている『かつて神だった獣たちへ』

最近は、元プロ野球選手の清原和博さんが逮捕されて話題になっていますよね。

彼はプロ野球選手として本当に凄い人だった。
しかも「番長」と呼ばれるぐらい男気あふれる人で有名になっている反面、怖れられていた人でもあるのかもしれません。

しかし、そんなものすごく強そうで「番長」と怖れられる人であっても哀しい想いを背負っているのではないかと思っています。

 

今回紹介するマンガは、そんな人々に怖れられている獣になった人たちの哀しい想いとその人の想いを守ろうとする物語の作品を紹介します。

 

かつて神だった獣たちへ 1~7巻 / めいびい

神と呼ばれた擬神兵

国土を南北に分けた内戦が長く続いた時代、劣勢に追いやられた北部が禁忌の技術をもって作り出された異形の兵士たち。

人の姿と引き換えに神にも喩えられるその力で彼らの部隊は戦乱を和平へと導いた。

 

「かつて神だった獣たちへ 1巻」 めいびい P6-7 (講談社コミックス)
「かつて神だった獣たちへ 1巻」 めいびい P6-7

その擬神兵になった子供のシャールが主人公。

シャールの父は、擬神兵が獣と呼ばれるようになってから「獣狩り」と呼ばれる男・ハンクによって殺され、シャールはその復讐のために白いコートのフードを被った男のハンクを探していた。

シャールはメイド服を着て象撃ち銃を持つ。その銃でハンクを撃つが死なない。

物語はそこから始まる。

 

獣狩りへの恨みではなく哀しみ

ハンクは「獣狩り」をするため他の擬神兵を探していたときにシャールと出会った。

獲物の擬神兵・ダニーの呼び名は「スプリガン」で、シャールはハンクとダニーの戦いに巻き込まれることとなる。

 

なぜハンクは「獣狩り」をするのか?

ハンクはなんと擬神兵部隊の隊長で、「心無くした者はー仲間の手で葬る」と隊員たちで約束していたからなのである。

ダニーは獣になって人々に忌み嫌われるようになってからも、家族のために出稼ぎをしていた。しかし本当は、積荷を乗せた馬車を襲って宝石類を強奪していたのだ。

 

肥大化する肉体の持ち主・ダニーを仕留めるハンクだが、ダニーはハンクに対して恨み言も言わない。しかし、どうやって生きていけば良かったのか、戦争から生きて帰ってくるべきではなかったのではないか?と問いかけます。

 

「かつて神だった獣たちへ 1巻」 めいびい P38-39 (講談社コミックス)
「かつて神だった獣たちへ 1巻」 めいびい P38-39

なんと哀しい物語でしょう。

擬神兵たちは戦乱を鎮めるために、人々を助けるために自ら獣のような姿になって戦った。しかし、平和になった後の人々の反応は異形の姿を忌み嫌うような態度で接し、そして殺される。

最後の言葉は恨み言ではないのです。

そう、自分はどうすればよかったのか、むしろ戦争で英雄になっている間に死んでいたらこんな思いはしなかったのではないのか、とただひたすら哀しい想いを話しているのです。

 

ハンクはシャールにこう言います。

父親が本当に「獣狩り」に殺されるべきだったのか 自分の目で確かめると良い

そうしてシャールの、獣に堕ちたかつての英雄「擬神兵」を殺す者・ハンクとの旅が始まった。

 

それは想いを守るための旅

このように擬神兵を殺す者との旅を続けるシャールは、少しずつハンクのことを見る目が変わってきます。そしていろいろな物語の展開があって、コミックの第3巻からはハンクと離れて旅をすることになっている。

 

シャールは自分のいた村に戻ってきて、ハンクに殺されたはずの擬神兵の父・ニーズヘックとなぜか対峙することになってしまいました。

竜の姿で自我もなく暴れる元英雄。

それに対しシャールはハンクのことを思い浮かべながら「神殺しの弾丸」で父を撃つ。

 

「かつて神だった獣たちへ 3巻」 めいびい P75 (講談社コミックス)
「かつて神だった獣たちへ 3巻」 めいびい P75

こうして父とちゃんとお別れをしたシャールです。

 

現在は第3巻まで発売していますが、物語はまだまだ続いています。

怪物の出てくるマンガですが、この作品はただの怪物戦争・バトルもののマンガではなく、いろいろと人々の哀しい想いを考えさせられる物語です。

とくに、人々から怖れられている歪な者はたしかに怖いかもしれないけど、そんな人を作り出したのは世間の人々ではないのか。ただ糾弾したり、排除しようとするのはおかしいのではないのか。

ただ怖れて排除しようとするのではなく、もう少し怖れる者の想いを知って理解しようとしなければならない、またそんな人と今後上手く過ごしていけるようにお互い努力していかないといけないと思っています。

 

こんな人におすすめ!!

  • 怪物や恐竜のようなものが好き
  • 人に怖れられている者の気持ちが知りたい
  • メイド服を着た象撃ち銃を持つ主人公!?
  • てか、シャールが可愛い

 

逮捕された清原和博さんもこのマンガに登場する擬神兵たちのように哀しい想いを背負っているのではないでしょうか?

もちろん間違いなく覚せい剤の使用はいけません。ダメ!絶対!です。

彼は野球界で英雄になって、「番長」の異名を背負って頑張っていました。

しかし野球をやめた後は、心の中が空虚になりつつ周りから怖れと冷ややかな視線を浴びていたのは間違いないでしょう。

そしてその哀しい想いからやってはいけない道に走ってしまったのかもしれません。

そんな彼のために、想いを守る人や寄り添う人がいてくれることを望みます。

どうか彼が薬の誘惑を断ち切り、社会復帰できますように。

 

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