箱庭お嬢様の旅立ちー 水の都ヴェネツィアへ『アルテ』第4巻レビュー

「アルテ」の第4巻がとうとう発売しましたね。
そこで今回は、4巻新刊のレビュー記事を書こうと思います。

この漫画を読んだことない人は、以前書いた紹介記事を読んでみてください。

自分自身の力で生きられるようになりたいと画家を目指す少女『アルテ』
こんばんは。レクシアです。 はじめの方は、皆さんが知らないような漫画を中心として書いていきたいと思い...

3巻までのあらすじ

女性でありながら画家修業をするアルテに対し、ほかの工房の親方や徒弟から疑問視する声があがる。そこで組合役員により、アルテを画家修業を続けさせる条件としてフレスコ画の共同制作での働きぶりで判断するとレオの工房に仕事を依頼された。

レオはアルテに対して厳しく仕事をさせるが、アルテはレオを信じて必死についていき周りの徒弟たちの冷ややかな目に臆することなく仕事をしていった。その結果、ほかの工房の徒弟たちとも馴染んでいき、組合役員に認めてもらうとともにヴェネツィアの名門貴族であるユーリ・ファリエルに興味を持たれた。

 

4巻の内容(ネタバレ)

この4巻では、新キャラ・ユーリが物語を展開させていきますね。

久しぶりにフィレンツェに来たユーリはヴェロニカの屋敷を訪れ、ヴェロニカから女徒弟アルテのことを聞き出しています。アルテのことを聞き出したユーリはすぐさまレオの工房を訪れ、そこでユーリはアルテ個人にヴェネツィアでの仕事を頼みに来ていました。

その仕事内容は、ファリエル家の肖像画家として働くこと、そしてもう一つがユーリの姪の家庭教師をすることでした。

アルテは、何故私なのかと聞きますが、ユーリは

「君が女で貴族出身だからさ」 と伝えました。

アルテはその言葉を聞いてかなり動揺しています。 アルテはレオに相談しますが、

「運が良いとか悪いとか…そんな価値観で考えるな」
「お前に本当の力がそなわっていれば仕事を手にする機会は一度きりじゃないハズだ」

と、お前の考えを尊重するから自分でよく考えろと話しています。

この言葉は弟子の立場からすると嬉しいですよね。

そしてアルテは自分で考えて、ユーリの屋敷に話に行きました。 ユーリにアルテは話します。

「女で貴族だから」
「ユーリ様が私を選んだその理由は 今まで散々私の前に壁のように立ちはだかってきた言葉で その言葉を聞いた瞬間反発心を持ってしまったんです」

「アルテ 4巻」 大久保圭 P33 (ゼノンコミックス)
「アルテ 4巻」 大久保圭 P33

と断りました。

その帰り道にアルテは妊婦のルザンナに出会いました。ルザンナはレオの師匠の一人娘で、旦那がはやり病で亡くなって未亡人になってます。

旦那の家族が嫁いだ時の持参金を返し渋っていて、ルザンナはその返却の交渉のためにシナエから戻ってきているみたいです。 レオはルザンナのことを心配していますが、ルザンナはレオのそばにアルテがいることを見て少し安心しているようです。

ルザンナはアルテにレオの昔話をしています。

「アルテ 4巻」 大久保圭 P68 (ゼノンコミックス)
「アルテ 4巻」 大久保圭 P68

レオとルザンナはお互いのことを想い合っているのです。

そんなときユーリはレオの元を訪れて、レオを動揺させたりとアルテが来るようにいろいろ画策しています。

アルテはルザンナのことを考えて、レオにルザンナを助けたいと相談して

「一度工房を出たら…もう二度と受け入れてはもらえないでしょうか?」

と話し、ユーリの依頼を受けることを決意しました。

この二人の師弟関係を見ると、すごく信頼し合っていて羨ましいなーと感じますね。

こうしてアルテはユーリに交換条件として、ルザンナが持参金を返却してもらえるよう後ろ盾になることとヴェネツィア行きの期間を半年にするということで契約しました。

アルテのヴェネツィア行きが唐突に決まって、アンジェロは動揺し、レオも実は寂しがっている様子が描かれています。 出立の日にレオは

「半年の仕事を終えた後…この街に帰ってこなくても良いと思っている」

とアルテに伝えて出発しました。

ヴェネツィアまでの馬車や船での道のりの途中、アルテはすごい集中力で絵を描いていますが、実はレオの言葉に動揺していて、それを紛らわすために絵を描いていました。船旅の途中でアルテは体調を崩して船から落ちてしまいますが、ユーリと従僕が介抱してアルテが目を覚まします。

今までなんかうさん臭いようなユーリでしたが、

「そんな彼が君を邪魔にだなんて思っているわけないだろう」

とアルテを励ましていますので、ある程度は信用できるみたいです。

この時にアルテをユーリが着替えさせていて、アルテが恥ずかしがるシーンがあるのですが、君みたいな幼い娘には全く興味がないと言っているところがけっこう笑えました。

こうしてアルテは元気を取り戻し、無事にヴェネツィアに到着しました。

「アルテ 4巻」 大久保圭 P174 (ゼノンコミックス)
「アルテ 4巻」 大久保圭 P174

ここで4巻の内容は終わり、「特別編 アルテの一日」のお話が最後にあります。このお話は、アルテが元気で表情がわかりやすくて、いい娘なんだけどちょっと間抜けな一日の様子を描いた短編です。

 

4巻の感想・考察

この4巻では、アルテとレオの師弟関係が上手く描かれていました。アルテの考えやレオの師としての想い、それをお互いに信頼し合って相談していく様子が事細かくわかりやすいように描かれています。

なんというかすごく理想的な師弟関係でして、このような師弟関係を築けることができれば自分ももっと違う道を歩めたんじゃないかなーと感慨深くなってしまいました。仕事で上司や部下の関係性に悩んでいる、もしくはスポーツなどでの師弟関係に悩んでいる人は読んでみてみるといいかもしれませんね。

 

この巻ではユーリが物語を展開させていますが、最初はなんか笑顔がうさん臭いというか、レオを動揺させたりして良い人なのかよくわからないといった印象でしたが、ある程度は信頼できるんじゃないかと感じました。ただ、アルテのヴェネツィア滞在期間は半年じゃすまない気がしています。

ルザンナとレオの関係もよかったです。レオがめずらしく心配して手を取っているシーンがあったり、ルザンナも昔はレオのことが好きだったみたいですね。

3巻の時も思ったのですが、大久保圭先生は巻末に新キャラを少しだけ出して巻が終わる書き方をしていますね。 話の大まかな内容はその巻でだいたい完結しているから、出版ペースの遅い漫画にはいいのかもしれません。

 

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